旅の準備ガイド

基本情報

伊勢路は国道42号をはじめとした舗装路もあれば、木々に囲まれた石畳の未舗装の峠を歩くルートもあります。北部エリアでは標高256mの三瀬坂峠が最高地点ですが、中部エリアになると急な上り坂と下り坂があり、特に八鬼山越えは伊勢路最高地点の647mとなります。南部になると浜街道をはじめとして平地が増えて歩きやすくなりますが、本宮道は標高300mを超える峠が続きます。計画にあたっては、季節、自分自身の体力、歩く距離を考慮した上で、適切な準備を行いましょう。特に中部から南部にかけては日本屈指の降水地帯であり、宿泊施設も多くないため、十分な情報入手と準備が必要となります。

天気について

伊勢路周辺の年間温度推移と降水量のグラフ

伊勢路は通年通行可能であり、冬は氷点下になることもありますが、積雪はほとんどありません。夏は蒸し暑く、湿気や降水量も多いため、水分の確保に加えて、雨天時の装備が必要となります。

伊勢路周辺の日の出と日の入り時間の年間グラフ

日照時間は、12月の冬至が最も短く、6月の夏至が最も長くなります。長距離を歩く場合は、早めに出発して、早めに到着することを心掛け、日没時間の前には歩き終えるようにしましょう。

台風と大雨について


紀伊半島は日本有数の多雨地帯であり、台風が接近しやすい地域です。大雨や暴風は、土砂崩れ、鉄砲水、飛散物による被害を引き起こす可能性があり、夏から秋にかけて歩く際は、天気予報を常にチェックし、注意報や警報が出るような気象条件のときは歩くことを避けてください。

服装及び履物

長距離のトレッキングを計画する場合、適切な服装と履物が不可欠であり、雨や汗に備えて、綿は避け、乾きやすい服を重ね着することをおすすめします。丈夫で履き心地の良いウォーキングシューズを準備しましょう。

装備リスト


必要な装備の種類は、歩く期間と距離によって異なります。以下は、推奨アイテムの一般的なリスト。

  • リュックもしくはザック
  • 雨具
  • 帽子、サングラス、日焼け止め
  • 折りたたみ可能なウォーキングポール
  • ウォーターボトル
  • カメラ
  • バンドエイドなどを備えた小さな救急用品
  • 小さな懐中電灯
  • マップなど
伊勢路をトレッキングする適切な装備例


沿道には水飲み場が少ないため、トレッキング中は水を持参することが重要で、集落や街などで飲み物を購入できるお店や自動販売機で入手しましょう。特に暑い季節には、水分を十分に補給することが重要です。

注意すべき生き物

ツキノワグマ

生息数は少ないですが、歩くときは周囲に耳を傾け、熊鈴など音の鳴る物を携行しましょう。

ツキノワグマ
マムシ

この地域に生息する有毒な蛇であり、誤って踏まないように足元に注意しましょう。噛まれた場合は、患部をできるだけ動かさないようにしながら、直ちに医師の診察を受けてください。

マムシ
ムカデ

ムカデに噛まれると痛みを伴うことがあります。履物に隠れることを好むので、足を入れる前にチェックしましょう。

ムカデ
スズメバチ

スズメバチは刺されると痛みを伴うことがあります。刺されたら、傷口を流水でよく洗い流し、ハチの針が残っている場合は、そっと抜き、傷口から毒をしぼり出してください。口で吸った場合、毒は必ず吐き出しましょう。ショック症状による体調の急変もあるため、直ちに医師の診察を受けてください。

スズメバチ
マダニ

マダニは、主に草むらや藪・森林にいます。このような場所で長時間地面に直接寝転んだり、座ったりするのは止めましょう。ダニをよせつけないためには、肌の露出部分や服にDEET(ディート)などの有効成分が含まれた虫除け剤の使用も有効です。

マダニ
ヤマビル

ヤマビルは衣服の少しの隙間を見つけて、吸血しやすい場所を探して這い上がります。活動期は一般的に4月から11月頃までとされており、特に雨上がりは活動が活発になります。肌を露出する服装は避け、忌避剤の使用も有効です。

ヤマビル

道標

田丸にある4km道標

4km道標

伊勢神宮から熊野速玉大社までの間には、そこから目的地までの距離を示す木製の目印が4kmごとに設置されています。スタート地点は外宮入口。これらの標識は、2009年に三重県によって設置されました。

ツヅラト峠にある100m道標

100m道標

世界遺産に登録された道などに、100mごとに設置されている道標です。歩行の目印となるほか、道標に書かれた峠名と番号を伝えることによって、救助活動を迅速に行うことができます。

各コース内ルートの難易度ランクについて

難易度ランクは1.0から5.0までの0.5刻みの10段階で表しています。
そして、次の6つの基準を組み合わせて算出しています。

  1. 歩行距離
  2. 歩行時間
  3. 積算標高差
  4. 路面状況(登山道か舗装路)
  5. 交通アクセス(公共交通機関の有無、頻度)
  6. 隔絶性(近隣に人家や集落、施設の存在)

難易度ランク1のルートは、①近距離、②短時間、③積算標高差が少ない、④舗装路またはよく整備された登山道、⑤アクセス至便、⑥近隣に人家や集落・施設が多いことが評価されます。

一方、難易度ランク5のルートは、装備の充実や体調の良い経験豊富な人向けであり、①長距離、②長時間、③積算標高差が多い、急激な勾配差、④悪路(根っこや凹凸のある斜面、路面障害物多数)、⑤アクセス困難、⑥辺鄙な地(人家や集落がほとんどない)であることが評価されます。ランク5は全てのルートにアクセスがないという意味ではなく、他の基準の比重により評価されることがあります。

さらにルートの難易度は天候、時刻、時期、ルートの向き(例:登りルートか下りルートか)、荷物量、体調、経験値で変わり、豪雨の中で重い荷物を所持してランク3のルートを歩いていたとしても、疲労の蓄積が通常よりも多くなり、ランク5の難易度になることがあります。

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