


モデルコース一覧
世界遺産 熊野古道
「伊勢路」をめぐる
自分のペースで回る
セクションハイクもおすすめ
宿泊施設がない集落では公共交通機関で最寄りの宿に移動し、次の日に戻って、再び歩き出します。宿では紀伊半島の豊かな海の幸、山の幸を堪能でき、地元の人々との交流もできることから、1泊や2泊の短い歩き旅もおすすめです。

伊勢路巡礼ガイドマップ
モデルコース道中の宿泊施設をはじめ、周辺の自然景勝地や神社仏閣をはじめ、トイレやコインランドリー等旅に役立つ施設をマップ上でご案内しています。
伊勢平野と清流宮川
約70kmの北部エリアは伊勢神宮内宮から始まり、外宮を通り、度会橋にて宮川を渡って、肥沃な伊勢平野の南端を田丸に向かって西に進みます。 このセクションは舗装道でほとんど平坦な道です。
田丸を過ぎ、山が近づくと未舗装道の女鬼峠(標高120m)を登り、相鹿瀬で再び宮川と合流します。ここからは宮川と支流大内山川と梅ヶ谷まで並んで歩きます。国道42号線と旧道を交互に歩きながら、駅のある栃原、川添、三瀬谷の大きな集落を通り、北部エリアで最も険しい三瀬坂峠(標高256m)を越えます。
三瀬坂峠登り口の北側に鎮座する多岐原神社の脇から「三瀬の渡し」(予約必須)が出ていますので、舟を利用する方法もあります。三瀬坂峠を下りると、伊勢神宮内宮の別宮である瀧原宮に参詣します。ここまでで約4分の3を歩いたこととなり、滝原、阿曽、柏崎、大内山の集落の中心を進みながら緩やかに登り、梅ヶ谷に到着です。






北部エリア踏破コース
- 所要日数
- 5日
- 歩行距離
- 69.3km
北部エリア踏破コースは、伊勢路巡礼の旅の序章として、伊勢神宮から梅ケ谷駅までの約69.3kmを5日間かけて歩くコースです。
旅路は伊勢路の玄関口である伊勢神宮を起点にスタートし、清流宮川のせせらぎや、栃原に広がる茶畑の緑に癒されながら、心地よい山里の風景を楽しみながら進みます。
コースの終盤では、かつて巡礼者が多岐原神社を目指して舟で宮川を渡った「三瀬の渡し(要予約)」の体験も可能。中部・南部と比べると高低差が比較的少なく、巡礼の第一歩として、初心者でも安心して楽しめる旅路が特徴です。

北部ハイライトコース
- 歩行距離
- 27.7km
北部ハイライトコースは、公共交通機関を活用しながら要所を巡り短時間で北部の魅力を堪能できるコースです。
コース内のルートはいずれも高低差が少なく距離も短めに設計されているため、気軽に北部の見どころを楽しむことができます。
伊勢神宮やおはらい町といった定番スポット、田丸城跡や瀧原宮などの歴史的名所、そして女鬼峠や三瀬の渡し等の豊かな自然、多彩なコースの中から興味に合わせて内容を選び楽しむことも可能です。



石畳の峠と小さな漁村
梅ヶ谷から始まり、花の窟まで約80kmの中部エリアは、ユネスコ世界文化遺産の中核エリアであり、最も人気のある区間です。小さな漁村を結ぶ連続した峠道を越え、ところどころで石畳の道や石碑と出会い、古の風情が残る歴史ある道が続きます。
山が多く、岩が多い海岸線にはドラマチックな入江があり、時には長い指のような湾に風光明媚なビーチが並んでいます。大内山川の源流域となるツヅラト峠、もしくは荷坂峠から本格的な峠道となり、旧伊勢国から旧紀伊国に入域し、伊勢神宮内宮を出てから、初めて海の風景と出会います。
撮影スポットの多い人気の馬越峠、松本峠、鬼ヶ城、そして伊勢路最大の難所である八鬼山越え(標高647m)など見どころが豊富です。






中部エリア踏破コース
- 所要日数
- 6日
- 歩行距離
- 78.0km
中部エリア踏破コースはその昔、西国第一の難所と言われた「八鬼山越え」など10コース約78㎞を最短で6日間かけて歩くコースです。
伊勢を出発した巡礼者が山深い古道から一転、まばゆいばかりの太平洋を望むツヅラト峠が幕開け。江戸時代の紀行作家や俳人の足跡もたどりながら、光、空気、音など五感を研ぎ澄まし自然と一体となった古道を歩くという行為の中で、「非日常と日常に巡礼がある」のだと実感します。
沿道の巨岩や巨木、色とりどりの草花、時折り出会う動植物。知らず知らずに伊勢路の魅力に引かれている自分を発見するでしょう。(文:語り部 山脇弘蒔)

中部ハイライトコース
- 歩行距離
- 13.5km
1400万年前、熊野カルデラの巨大噴火の名残りとされる熊野酸性岩を利用した馬越峠や松本峠の苔むした石畳道は圧巻。自らが巡礼者になれる”映え”スポットが多数あります。
花の窟神社では山、川、海、あらゆるところに神が宿る”八百万の神”に代表される日本人の自然信仰の原形を見ることができます。坂上田村麻呂が鬼を退治した鬼ヶ城は中世の山城の自然要塞。日本の渚百選に選ばれた七里御浜で”咆哮”する獅子岩は古道を歩く旅人の守り神でもあります。
現代の道普請にも感謝しつついにしえの道を踏み締めてください。(文:語り部 山脇弘蒔)

中部デイウォークコース
- 所要日数
- 1日
- 歩行距離
- 10.2km
- 難易度
- 4.0
標高647mの八鬼山越えは昔は狼や盗賊も出没したとされる”難所”というイメージの反面、ユニークな表情で旅人を和ませる町石や紀州藩主が籠を休めた籠立場、戦国時代の荒廃した世情の中で伊勢神宮の式年遷宮に貢献した清順上人、願い叶わず行き倒れた巡礼者の供養碑など奥深い歴史が蘇る道でもあります。
峠近くの荒神堂は千年以上も前から修験者が守ってきたお寺。西国巡礼の前札所として茶店も大繁盛したと言われます。
現代の”先達”、地元語り部さんの案内があるなら八鬼山越えの魅力が一層深まるはずです。(文:語り部 山脇弘蒔)

浜街道と本宮道
花の窟からは浜街道と呼ばれる海岸を南下するルートと本宮道と呼ばれる熊野本宮大社を最短で結ぶ山岳ルートに分かれます。
浜街道は、熊野川河口まで続く七里御浜(日本一長い砂礫海岸)に沿って歩き、熊野速玉大社を目指します。その後、熊野速玉大社からは中辺路ルートとなりますが、小さな峠である高野坂、小狗子峠を越え、補陀洛山寺を参詣し、ハイライトである大門坂、熊野那智大社、青岸渡寺、那智大滝と那智山を巡ります。
一方の本宮道は、紀伊半島の中心に鎮座する熊野本宮大社に向かって山岳地帯を縫うように横垣峠、風伝峠、通り峠を越え、棚田百選の丸山千枚田の美しい風景に出会います。熊野川を渡り、南部エリアの難所である万才峠(標高415m)を越えると、小雲取越で中辺路と合流、熊野本宮大社にたどり着きます。






南部エリア踏破コース(本宮道)
- 所要日数
- 4日
- 歩行距離
- 54.0km
南部踏破コースは、花の窟を分岐点にして、熊野速玉大社をめざすルートの浜街道と、熊野本宮大社をめざす本宮道に分かれます。
本宮道は、約2000年前の崇神天皇の代にイザナミノミコトの御魂を花の窟より本宮に遷座した際の道が、いまなお各所に残された貴重な道となっています。 花の窟を起点にして、約49.4km、横垣峠、風伝峠、通り峠を越え、さらに万才峠(標高415m)を越えると、中辺路の小雲取越えに合流し、本宮大社に到着します。
峠越えだけではなく、アスファルトの道も長く続きますが、花の窟の主祭神イザナミノミコトと本宮大社のスサノオノミコトの親子の絆を結ぶ祈りの道に思いを馳せながら歩けるコースです。

南部エリア踏破コース(浜街道)
- 所要日数
- 4日
- 歩行距離
- 43.4km
南部踏破コース(浜街道)は熊野市から七里御浜沿いに熊野速玉大社をめざす比較的アップダウンの少ないコースです。
花の窟を分岐点に山岳地帯を越えて、熊野本宮大社をめざす本宮道とは対照的に、越えなければならない峠はありません。 約22km続く、砂礫海岸としては日本一の長さを誇る七里御浜の海の美しさを感じながら歩き続け、さらに熊野川を越えると、いよいよ熊野古道伊勢路の終点、熊野速玉大社です。
西国三十三か所巡礼第一札所の青岸渡寺をめざす巡礼者は、ここからさらに那智山をめざしました。

南部ハイライトコース
- 所要日数
- 1日
- 歩行距離
- 5.4km
- 難易度
- 2.0
通り峠の頂上から、さらに15分階段を登ると、そこには展望台があり日本の棚田百選に選ばれた丸山千枚田の絶景を楽しむことができます。
山深い盆地に位置する丸山千枚田は、約1kmの山腹の急斜面に広がる見事な棚田です。慶長6年(1601)には2,240枚の水田が造成されていましたが、丸山地区の過疎化や高齢化により、1993年には530枚まで減っていました。
しかし、地元住民が中心となり復田作業に取り組み、現在では1,340枚を誇る棚田が復元されました。だんだんと続く千枚田の風景は朝の雲海、夕焼けの時間帯もいっそう美しく、熊野市の代表的な景観となっています。

南部デイウォークコース
- 所要日数
- 1日
- 歩行距離
- 8.6km
- 難易度
- 2.5
本宮道の峠では横垣峠と風伝峠が世界遺産登録されており、デイウォークコースは2つの峠を約4時間かけて歩くコースです。
横垣峠はこの地特有の神木流紋岩が敷き詰められた石畳が整然と続き、のどかな風景を楽しみながら歩くことができます。風伝峠のふもと尾呂志集落に入ると比較的なだらかなコースを進みますが、峠の登り口からは苔むした石畳が続き、古の巡礼者に思いをはせながら歩くことができます。
風伝峠の名前の由来は、一年中風がよく通る峠、尾呂志は峠から吹き降ろす“颪“が転じたものといわれています。秋から冬にかけて寒暖の差が大きい晴天の早朝には、山から朝霧が流れる美しい風伝おろしが見られるかもしれません。
